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2018-03-17

アイルランドの旅 vol.1

「道を間違ったかもしれない」

標識通りに進んだはずなのに、3年前と同じルートのはずなのに、
アイルランドの西の端ディングルに続く一本道がしだいに蛇行し細くなり、
気づくと断崖絶壁の一本道を上っていた。
車一台がやっと通れる幅をUターンなんてとんでもない止まることもできず、
後ろから来る車に押し上げられるように進んだ。

「右の崖に落ちたらおしまいだ」
そんな恐怖を感じながらかれこれ15分、突然視界が開けた。

山頂に着いたようだった。
誰もがそうしているように、車を停めて外に出た。
命からがら生き延びたあとのような深呼吸。
見渡すと360度、灰色の空と岩、
緑と茶でパッチワークになった草原が広がっていた。
駐車スペースの柵まで進みその向こうを見ると、
はるか下からずっと先まで手つかずの大地が広がっていた。
草原、森、湖、そのかなたに空と海。
遠く古のケルト人もこの風景を見ていたのだろうか。
雲の切れ目から光が射し水面と緑が刻々と色を変える。
音楽を奏でる風に吹かれながら神秘的な光景にしばらく立ちすくんでいた。

これがかのワイルドアトランティックウェイ一端だと気づいたのは、
ディングルに たどり着き、走って来た一本道を振り返った時だった。

 

2016.August

 

 

 

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