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2019-03-22

写真集「パリの花束」

昨日、「パリの花束」が届きました。

かなり厚いブーケの写真集。
私の花の師匠 アイロニー 谷口敦史氏 4冊目、
パリにお店を出されてからは初の写真集です。

サイン&ポストカード付 20冊入った段ボールはかなり重く、
ブックコーナーまでひきづって、
ウィンザーチェアに腰掛けて、
ワクワクしながら蓋を開けました。

ページをめくると最初にアイロニーパリ店のウインドウ。
昨年初夏、アイロニーのウェディング装花研修に参加した時、
毎朝暗いうちにUbaで乗り付けたメニル通りのお店。
ほのかな灯りが煌めく美しいディスプレイです。

写真は季節ごとにまとめられているようで、
“Printemps”から始まりました。
「パリであなたの花束を」という企画で束ねられ
“その方をイメージしたブーケ”が、
パリの街角ー誰もが知っているエッフェル塔を背景にしていたり、
石畳の上に置かれていたり
郊外のお城の彫像と合わせられたり、風に葉がそよぐ木々と写っていて、
どのブーケも、ヨーロッパの自然と
人間が作り上げてきた建造物に溶け込んでいます。

季節によって、撮影の時間によって光は変わり、
合わせる場所と色によって、そのシーンが一期一会の物語のような
一枚の絵になっています。

そうして写真をめくっていると突然、
目の前に視界が開け、空と緑と空色の花たちの風景が
飛び込んできました。

ウエディング装花研修で、私がいたチームが担当した
“挙式をしたセレモニー広場“の写真でした。
広大な敷地を持つクーランス城の、緑の道の真ん中が
結婚式のセレモニーの会場でした。
晴天の中、降り注ぐ光と鳥のさえずりに囲まれて
花を活けられる幸せを身体いっぱい感じながら
丸二日、青と白のアレンジを作ったあの広場。
アレンジの水がどんどん蒸発していくので、
直前まで何度も何度もかがんでチェックして水を足した
あの花たち。
日本でも滅多にないのに、作った花たちと共に
セレモニーに立ち会えて大切な瞬間を共にさせてもらった場所。

その時の思い出が急に溢れてきて、
胸が熱くなりました。

この研修に参加した去年は、
心身ともにハードな年で
あまり起きてもいられず、ポカもするし、
記憶力も落ち、何もする気になれなかった日々が半年続きました、
ちょうど店を開いて10年、その節目に…という出来事もあり、
一層気落ちもしたのでした。

ですが、この写真を見た瞬間、湧き上がってきたのは
その辛かった思いではなく。
とてつもない幸福感でした。

できないできないと、そして、この10年なんだったんだと
思うこともあった年だったけれど、
たしかに頑張った、その思いと、
自然の中で花を活けるという自分の原点、
この風景は、私にとって何が大切かを
思い出させてくれました。

誰もいないこの写真は、セレモニーが始まる前の一瞬の静寂。
自然と人の手とが合わさって、
より美しい自然があらわれた光景でした。

 

美しい花束が満載のこの写真集には、
何枚か、こうしたウエディングやパーティ、
レストランの装花の写真も盛り込まれ
夢をかなえてパリに店を出した谷口さんの
ブーケ以外の仕事を垣間見ることもできます。

ランジス市場での花の仕入れショットと、
一覧になったブーケに使った花の名前は、
フレンチスタイルの本場パリに
自然に調和していったように見える谷口さんの
日々の努力と人となりが見られます。

パリの空気と歴史と自然と花が
いっぱい詰まったこの写真集、
じっくりゆっくり眺めるのも良いし、
パラパラとめくってフランスの空気を感じるのもいい。
いつか、この写真集を片手に、
撮影場所を巡ってみるのも素敵です。

 

私にとっては、思い出の大切な一冊になりました。

 

谷口敦史「パリの花束」(2400円+税)
gentle treeでは限定20冊、
サイン&ポストカード3枚付(認定校生はポストカード5枚付)で
gentle Book コーナーで販売中です。

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